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ニンジャスレイヤーPLUS

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サイバーパンクニンジャ小説「ニンジャスレイヤー」の連載まとめに加えて、書下ろしのスピンオフエピソード、コメンタリー、資料集などがまとめられたマガジンです。PLUS系のメンバーシッ…
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#サブストーリー

PLUS目次(2024年11月2日更新)

🍣「ニンジャスレイヤーPLUS」は2022年8月からメンバーシップシステムに移行しました(従来の定期購読マガジンは9月移行徐々に更新停止となります)。PLUSは最新スピンオフや設定資料集の公開場所であり、2010年から続くTwitter無料連載支援のためのドネート窓口でもあります。 📡総合ニュース / 大きな更新まとめ◆AoM本編AoM本編はTwitter上で連載され、加筆修正版がnoteにまとめられています。連載ログや実況ログは三部作と同様、全てweb上に残り続けます。

【アイアン・アトラス・プレジデント!】#7

6 ←  キイイイイン……キイイイイン……キイイイイン……。

【アイアン・アトラス・プレジデント!】

1「CEO」 「……」 「CEO?」 「……まずい……」 「CEO! 落下時刻です。CEO!」 「ンンッ?」  圧迫感のある夢から覚醒したヨロシ・サトルCEOはまず、己の見ていた夢の内容を思い出そうとした。しかし、その暇はなかった。彼のすぐ隣に、秘書のナインの緊迫した表情があった。  サトルは奇妙に思った。ナインは降下スーツに身を包み、ハーネスを装着している。それから己の姿を認識した。彼もまた降下スーツを身に着けている。次に、揺れと速度感を認識する。そして己を取

【アイアンアトラス・プレジデント!】#6

5 ← 6 タランテラ、ヨロシ・サトル、ナイトシフトが卓を囲むのは通信傍受やハッキングの類を電磁的に遮断された高額のレンタル・ルームであり、さながら地下墳墓の玄室じみていた。最小限の照明のなかで三人のニンジャの油断ならぬ視線がうすぼんやりと光った。  タランテラは卓上に平たいホロ端末を置き、立体映像を投射した。ニュースヘッドラインのピックアップと、幾つかの断片的映像。決断的ショドー「社内改革」の額縁を背後に、自信ありげにオジギするネオサイタマ支社長の記者会見。

【ザ・ビースト・オブ・ユートピア】全セクション版

◇総合目次 ◇初めて購読した方へ 1 広場に走り来た2階建ての朝のバスに、むさくるしい身なりの市民が殺到した。罵り合う者らを溢れさせ、灰色のバスは即座に発車、エメツ混じりの黒い粉塵を残す。 「チクショ!」「死ね!」  弾き出され、仕事にあぶれた連中は野蛮なキツネ・サインを掲げるが、すぐに表情を強張らせ、路地へ歩き去った。広場に教導兵の一団が行進してきたのだ。ガスマスクと銃剣を煌めかせる灰色の兵士達。  彼らが整列し灰色の空を見上げると、黒い墨汁じみた軌跡を滲ませ、エメ

【レリックブレイカ:ハードタイム】後編

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【アイアン・アトラス・プレジデント!】#4

3 ← 「ドーモ、アイアンアトラスCEO。私はヨロシサン・インターナショナル、ネオサイタマ支社長のシド・ダオです。先程はIRC通信での説明になりましたこと、お詫び申し上げます」  シドはアイアンアトラスに対しておごそかにオジギした。シドはオールバックで、アイアンアトラスほどでないにせよ背が高く、がっしりとして清潔感のある男である。 「ドーモ。俺はアイアンアトラスな。そんで、コイツはUNIXマンだ!」 「コ……コミタ・アクモです、ドーモ。ええと……」 「アイアンアトラ

【デッド! デダー・ザン・デッド!】

1 重金属酸性雨降りしきるネオサイタマに雷鳴が轟き、廃東京タワーに落ちた雷がスモッグを白く照らした。無数の広告ネオン看板が、自然現象に負けじと蛍光色のメッセージを滲ませる。「おマミ」「真剣者」「ピーチ桃」「夢子」「一杯やっちゃって」「電話王子様」。今夜のネオサイタマは重金属雲が濃く、2年前に割れた月も、見えはしない。  隣り合ったビルそれぞれの屋上にニンジャ同士が対峙し、激しい雷光を受けていた。まず一方、第三信頼銀行のビルには対照的な二人のニンジャの姿あり。一人は桜色に燐

【アイアン・アトラス・プレジデント!】#3

2 ← 「安い! 安い! 実際安い」「毎日お米を食べよう」「あなたの電話が今すぐ安くなる! 無料査定!」「ヒートリ、コマキタネー……アカチャン!」  川沿いの建築群が発する大音量の広告音声がタマ・リバー川面に反響し、広告ネオンライトを投げかける中、モヒカン船長が操舵するスピードボートは高速ジグザグ航行を継続している。コミタは身を乗り出し、吐いた。「オゴーッ!」 「フフッ、やはりこのネオサイタマの猥雑とした様相には、喧噪の極点を通り超えて到達する一種の郷愁とゼンがあるよう

【アイアン・アトラス・プレジデント!】#2

1 ← 2「ズルッ! ズルズルーッ! ズルズルーッ!」 「ヌウウ」  24時間営業ソバ・スタンド店内、パーティションで仕切られた手狭なカウンターで、横ではみ出すアイアンアトラスの巨体とソバ啜り音に圧迫感を感じながら、ヨロシ・サトルはテンプラ・ソバをぎこちなく食べていた。

【アイアン・アトラス・プレジデント!】#1

1「CEO」 「……」 「CEO?」 「……まずい……」 「CEO! 落下時刻です。CEO!」 「ンンッ?」  圧迫感のある夢から覚醒したヨロシ・サトルCEOはまず、己の見ていた夢の内容を思い出そうとした。しかし、その暇はなかった。彼のすぐ隣に、秘書のナインの緊迫した表情があった。  サトルは奇妙に思った。ナインは降下スーツに身を包み、ハーネスを装着している。それから己の姿を認識した。彼もまた降下スーツを身に着けている。次に、揺れと速度感を認識する。そして己を取

【アンリーシュ・ザ・グリムリーパー】

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【アンリーシュ・ザ・グリムリーパー】7

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【ラグナロク・オブ・ピザ・タキ】

これまでのあらすじ 【ラグナロク・オブ・ピザ・タキ】 1 キタノ・スクエア。  ……に、ほど近い、路地裏の廃雑居ビルの八階。そこに現在、ピザタキの緊急移転アジトがあった。  凄惨なるヤクザ火炎放射騒ぎから、日にちはそう経っていない。あの時の攻撃をどうにか免れたアジトのUNIXデッキやファイアウォール群は、急遽この場所に運び込まれて、冷却ファンの重低音を鳴らし、緑や紫のUNIXライトを光らせていた。  地下四階から地上八階への華麗なる上昇にもかかわらず、タキの仕事場は