第1回逆噴射小説大賞:二次選考通過作品まとめ

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黒猫のミシャ

黒猫のミシャ

 「あなたは自分が何をしているのかわかっていますか」 私に頭を踏みつけられた天使兵が無機的に言った。 破れた鎧の隙間から火花を散らし、地面には黒いドロドロが流れ出ている。 銃——と呼ぶらしい。 汎用魔道具。単純化された奇蹟。凡人にも扱えるよう調整された神々の業。そういったもの。 これが私の武器。 撃鉄を落とせばミスリルの塊が飛び出し、剣の通らない<神兵>の無機鎧も食い破る。  <猫目団>の首長はこういうものを作っては、手下である私たちに与えている。  私は黒猫のミシャ

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ジプシー・ガールズ

ジプシー・ガールズ

 私はジープの広い後部座席に寝そべり車内の天井を眺めていた。 固いサスペンションから伝わる振動が心地よく、胃のあたりが浮き上がるような高揚を感じる。 「サキ、起きてる?」 運転席でハンドルを握っているのは同級生のトモコ。 運転免許は持っていない。無免許運転だ。 最もそれを取り締まる警察も、もういないけど。  2018年--異界元年。 私たちの世界は異世界と繋がり、全てが変わった。 向こうの世界から現れる西洋甲冑の軍団に現代兵器は通用せず、私達の住む街はドラゴンの火に飲ま

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たとえ死が私を歩もうとも

たとえ死が私を歩もうとも

 急ブレーキで車を止めると俺は毒づいた。窓を開けて今しがた轢きそうになった相手に怒鳴ろうとしたが、声が出なかった。  ヘッドライトの先には子どもがいた。小学生ぐらいで、クマのぬいぐるみを担いでいる。それを見てなぜか俺は戦争映画を思い出した。  嫌な予感がした俺は黙って車をバックさせはじめる。が、車と同時に男の子が動いた。まるでワープした俊敏さで助手席にしがみついた。 「乗せて! 乗せて! 乗せろお!」窓ガラスを殴りながら男の子が叫んだ。気圧された俺がもたついていると子どもはす

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気合の女児・マジカル☆まじか

気合の女児・マジカル☆まじか

「おうおうおう! 上等くれてんじゃねーか!」 真敷本気香(まじきまじか)は小学校五年生の女児である。もと暴走族で今はラーメン屋の父と、もとレディース総長の母との間に生まれた生粋の気合系女児だ。  現在、父親のラーメン屋は地上げ屋の若い衆の嫌がらせに悩まされており、卑怯にもその仲間のひとりはまだ小学生である本気香を誘拐しようとしていた。 「この真敷本気香に手ェだすなら腕の一本や二本覚悟してんだろーな!」  気合と共に輩に飛びかかった本気香はランドセルに突き刺さっていたリコーダー

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