第1回逆噴射小説大賞:二次選考通過作品まとめ

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【冒頭】モンピートン、彼のための宇宙

【冒頭】モンピートン、彼のための宇宙

   まだ何もなかったが、閉じた水門のきわには意味深げに上流から流れ込んできた廃材が溜まっていた。鋼鉄加工廃棄物とプラスチックごみ、期限が切れた工業用の人工シナプスが少し。不法投棄の廃油が大量。爆弾低気圧が投げ捨てた雷が数億ボルト。まだ何もなかった。  集中豪雨の後、油膜の浮いた溜め池で羽化した、もろっとしたトンボが一匹、帯電した産業廃棄物の上にとまった瞬間、溶けて染み込んで消えた。瞬間、彼は堆積物の中に現れたのだ。  錆と油でできた腕を伸ばし、ゆっくりと頭を起こすと、認識の

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【冒頭】不死なるものに極刑を

【冒頭】不死なるものに極刑を

「カンダルダの山腹に屯す五人の内に一人」の予言を受け、不死人狩りに出た騎士団員は十四名。いずれも単騎で巨人をいなす粒ぞろい。しかし、獰猛な山脈の腹まで命あって辿り着いたのは僅か六名であった。否、それも今、五名になった。滑落したゴントをどうするか、彼らは目くばせし合った。誰もがやつれ果てていた。ロハスルが「拾おう」と言った。「もうじき霧が出る」とユーナンが暗に反対したが、生真面目なトゥヌは既に黙々と岩を降り始めていた。「休もう」とキリが腰を下ろした。ビトーは笛を吹いていた。  

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