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「現実とはある程度自由に改変できる代物だ。たとえば今、私は私の性別を女だと認識しているが……」 黒髪を指で梳きながら尾原は矢辻を指さした。 「先ほど君は私の後に個室トイレを利用したね。便座はどうなっていた?」 「上がっていました」 「私が女性ならそれは不自然だね。つまり実は私は男性だ」 「知ってます」 彼を囲んで座る隊員たちはそろって苦笑した。 「いま実践したのが前世紀に考案された簡易性別改変叙述法だ。『便座の蓋を開ける』という簡単な行動を挟むだけで『伏線』