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ゴン、ゴン、と遮温服を叩く音がする。 白い雪を見たことがない。どこまでも広がる雪原も、降りやむことのない雪も、全ては煤と油の混じった薄灰色をしている。それでもリィが遮温服を脱いだ時、濡れた黒髪にはらわれた雪はとても綺麗だった。リィは優秀な隊員だった。雪に含まれる廃油が人肌程度の温度で発火することも、雪原で肌をさらせば何が起こるかも、隊の5人の中で一番よく知っていた。 遮温服は施錠されており、自由に脱ぎ着はできない。彼女はたぶん、ナイフで肉ごと裂いて脱いだのだ。僕は最