【試し読み】灰都ロヅメイグの夜 3:斜陽の剣士達
承前
3:斜陽の剣士達 廃屋の二階、ロー・ロクムの鍛錬場は、少なく見積もっても五十人の剣士がその技を磨くだけでなく、炊事その他を賄うに十分な広さを有している。そして、かような夜更けにあってもなお、十人からの剣士が其処に在った。もっとも、そのうち高位に属する数名は、窓際のテーブルを囲んで、フォウス酒とポーカーを愉しんでいるのであるからして、剣技の鍛錬に励むは僅か四人となるのだが。
剣技の鍛錬を行う四人のうち二人は、未だ剣の道を歩みだして間もない少年であった。真剣を扱うさ