ダイハードテイルズ・マガジン

【さいはてのペイルホース】#3

【さいはてのペイルホース】#3

ポータル ◇1 ◇2 ◇3 2 ←    断崖に閉ざされたこの村に繋がる道は三つある。ひとつは蟻の穴。<炎>のペレクと、彼に裏切られた盗掘仲間が用いた道だ。もうひとつは断崖の亀裂で、葉脈のように無数に枝分かれする不毛の渓谷地の入り口だ。これはキャプテン・デスが用いた。三つ目は階段。どこへ通じるのかもわからぬ、細く狭い削り石段が上へ伸びているが、これを試した村人は居ないという。どのみち、崩落によって塞がれてしまった。ミヤがペレクとキャプテン・デスを導いたのは、このどれでも

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【さいはてのペイルホース】#2

【さいはてのペイルホース】#2

ポータル ◇1 ◇2 ◇3 1 ←  彼は谷底で目覚めた。空は頭上のずっと高くにあった。  そこには砕けた岩々と、染み出す水と、影があった。緑馬もピオも見当たらなかった。  キャプテン・デスは立ち上がった。痛むが、動ける。外套はある。ブリンクを試みたが、機能しない。この場所が深すぎるのか。 「……ひとり」彼は呟いた。「まずいな。これは」 ◇◇◇  <炎>のペレクは瓦礫の囲いの中に固形燃料を詰めて点火し、歪んだ鍋を温めはじめた。彼の髪は橙色で、風も無いのに、ゆらゆ

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【さいはてのペイルホース】 #1

【さいはてのペイルホース】 #1

ポータル ◇1 ◇2 ◇3  薄暗い店を漂う没薬の煙は、紫肌の楽師が奏でる骨琴の音と絡み合って、その幻惑作用を一層強いものとする。壁一面には無数のイコンが飾られている。砂金を用いた神秘的な光の表現が、薄闇の中で濡れた輝きを放つ。当然それは信仰心からのものではなく、風化時代への単純な美的興味からのディスプレイだ。  店には様々な種族、様々な生業の客が居た。店に入って来た少年は、しかし、陽の光の下をまともに歩けない者たちでごった返す中にあって、やはり異質であった。  諍いや

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