逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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飛龍ナターリヤ -Дева дракона-

電子音のロックが解き放たれ、自動ドアが左右にスライドして開かれる。
ロシア迷彩ズボンの下で、使い古したコマンドブーツが床を踏み締めた。
灰色の世界の奥に、一面に草木の生い茂る、密やかな花園が姿を現した。

ナターリヤはスマートグラスの弦を正し、周囲を見回して歩みを進めた。
「これは……ホログラム映像」
黒革の手袋に覆われた少女の指先が、実在しない広葉樹の枝葉を撫ぜる。
割れ砕けた天蓋から吹く風が、

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