逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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古典的エリミネーター 1

「なんだ、呆気なかったな」

この日のために入念な準備をしてきたにしては、つまらない幕引きだった。

「久々の『お仕事』とはいえ、ま、こんなもんか。お前さんとは歴が違うんだよ、歴が。相手が悪かったな。」

煙草に火をつけながら、眼下に横たわるターゲットを足蹴にして吐き捨てるように言った。

生憎の荒天と、泥濘んだ地面のせいで、スラックスのプレスラインが台無しになってしまったが、今日は気にしてはいら

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Who Laughs LAST ?

いつものように仕事を終えて、いつものように地方都市のカプセルホテルに入ると、俺は苛立ちとともに抜身のベレッタM92をスチールロッカーに投げ込んだ。
ガッシャンと大きな音が脱衣所に響き渡り、自身の苛立ちを加速させる。
タオル片手に足早に浴場へと向かい、頭と体を念入りに洗い流した。
熱を求めてサウナ室に入ると、既に情報屋のシシドがいたので報告を済ませる。

「片付けてきた、川に流してきたから明日には見

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大統領の世界みなごろし大作戦

 アメリカの大統領が世界各国のテレビ衛星をジャックして、生放送を始めた。
「国民、ひいては世界の皆様、お話があります」
 中華街にあるラーメン屋、天井角に設えられた小さなテレビの中で、彼はそう言った。
「私は、もうこの世界に耐えられません」
 届いたばかりの大盛りのラーメンから顔を上げ、そりゃそうだろうなと、おれは思った。
「ゆえに私、アメリカ合衆国大統領ハート・ミハルカは、死ぬことにしました」

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もっとほしいな
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血だるま放浪記 黄金の吹雪

 雪まみれのメッコングを丸机の上に投げ落とすと、酒場の酔漢どもがどよめいた。
 店主曰く、引き取り人足が到着するまで数日掛かるという。だから先に賞金を受け取って、それで当座をしのぐことにした。
 机の上の死骸は見せびらかすままにして、祝いの火酒をラッパしていると、太った男が相席してきた。
「コイツはあんたがひとりでやったのかね、ジャド人の旦那」
そいつの長く伸びた一対のハナヒゲで、ドロ人だというこ

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ラーメン食うか?
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