逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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刀鬼、両断仕る

 夜明けから間もなくの、曇天。
 山と山の狭間に開けた草原に、つんとした血の匂いが漂う。

「……あぁ、良いな」

 小さく、男が呟いた。
 返り血に全身を染めた男は、薄暗い空に己の得物を掲げる。
 白銀の刃は一点の汚れも無く、鞘から抜いたばかりかのように煌めいていた。
 けれど……そうでは無い。
「ぅ……ぁぁ……」
「さて、お前で最後だ」
 血濡れの男は、目前の武士へと声を掛けた。
 大鎧に身を

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