逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

1
記事

巨獣戦線1490

加賀の山道を男が疲れ果てた様子で歩く。髷は乱れ、着物と杖代わりの太刀は血塗れだった。獣の返り血だ。

 時野田之介は伊吹村と幾つかの村を治める郷士だった。先の戦で武勲を挙げ与えられた任地は屈強な武士を権威に傘きる為政官に変えた。そして太らせた。徹夜で走り山道に出た今彼は疲労困憊して全身から脂汗が吹き出している。

 それでも先を急いでいると道の先に気配を感じ立ち止まって視線を上げる。そこに異様な服

もっとみる
ありがとうございます。
11