逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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死の翼ふれるべし

立ち並ぶ煙突が薄暗い煙を吐いていた。

 煙は一団となって宙を流れる。その一部は空に薄く広がって月を隠し、一部は寝静まった家並みの屋根の上に垂れ落ちる。工場地帯の西には名だたる探偵たちが葬られたピラミッド群の天を衝く威容があり、煙はその中腹に当たって二筋に分かれる。煙から突き出た先端部だけが月光を浴びて輝いている。

 ピラミッドのふもとは、一帯が背の高い生け垣で仕切られた迷路じみた庭園になってい

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