逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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サン・フォア・ザ・サン

打ち下ろした拳が少年型ロボットの頭を打ち砕く。奴は少年のかたちこそしているが両腕に投擲型トマホークが埋め込まれており、ゴング直後にこちらの頭を吹き飛ばしに来た。セコンドの情報がなければあれで負けていた。

 頭部に埋め込んである基盤を抜き取った私の腕をレフェリー型ロボットが差し上げ、津波のごとき歓声と怒号がバトルグラウンドに響く。快感を知る回路はあるが、感慨はない。セコンドとともに控え室へと歩く。

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そして踵は打ち鳴らされる

野営の始末を終える頃、アイツはおれが与えたヒモをくわえて眠っていた。さっきまではちきれそうな桃色の肉球と僅かな爪でヒモと戦っていたというのに。銀色の柔らかい体毛に包まれた身体は呼吸運動の度、わずかに動く。「ネコ」とはかくも脆弱で無知性、単純な存在だ。

おれはヒモに神経を通す。ヒモのあちこちで目がぎょろぎょろと蠢き、おれの制御下に戻った。それでアイツの頭部後方を掴み、ゆっくりとケージに収納する。こ

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ワオワオ!
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