逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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多次元交差ディメン・ジン

万華鏡を覗き込んだことを思い出した。小さな穴を覗き込むと、想像もしないような微細な線と面、色と光の世界に包まれる。筒をひねると世界は回転し、目が回るようだった。

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 先輩は銃を抜こうとした。その姿勢のまま、千の線と百の色に寸断された。血漿と肉が製材コンベアの上に落ち、錆鉄と廃材を汚す。暗闇の中で万華鏡のように煌めく怪物は、先輩をいまだに放さない。無数の足のような器官で残骸を捉えたままだ。そ

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