郷里侑侍
2019/10/27 03:09
夜風はトレンチコートの上からでも容赦なく体温を奪っていく。だが身体中が一塊の氷のようになっても、懐の拳銃だけは俺に馴染まずにその存在を主張していた。 俺は目の前を歩く3人の男をにらむ。真ん中の上背の男が今夜の、そして最初にして最後のターゲットだ。 ボスから拳銃を渡されたとき、俺の前には二つの選択肢しかなかった。その場で殴り殺されるか、間違いなく生きては戻れない暗殺に挑んで死ぬかだ。俺は後者を