逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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記事

白銀の竜騎兵

待機命令中、シルバーバレットはときどき自らの名について思考を巡らせる。魔を撃ち滅ぼす弾丸。いささか大仰であり、迷信的だ。

 だがシルバーバレットはその名が好きだ。明瞭に自分の役割を表しており、そうあれかしという製作者の祈りが込められている。祈り。苦境にある人々の支えとなる、形なき精神安定剤。

『外界からのアクセスを感知』

『規模は』

『ベヒモス級と推測』

『でかいな! 高知性体だといいが

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キャバァーン!
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『左手、落としとく?』

「はじめまして、ずっと前からあなたのことが好きでした」

 松本空港の竜皇回廊口を抜けてきた彼女は、開口一番そう言った。

「私の名前はステラルラ・ドラゴニュート・トニトルス。先輩たち地球人がドラゴ・テラと呼ぶ世界から来たっす。一ヶ月、どうぞよろしくっす」

 くだけた日本語でそう言うと、彼女はぺこりとお辞儀した。直角に腰を折った見事なお辞儀だった。きれいなつむじが目の前にあった。色素の薄い髪が細

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