へるま
2019/10/22 22:12
文永11年、筑前国早良郡。 沖からの冷たい風が秋の深まりを告げている。 菊花の香り深い小春日和の空と博多湾。 白砂の浜に打ち上げられるのは夥しい数の水死体。 そのどれもが甲冑に身を覆い、刀を佩き、矢筒を背負う。 ───戦の装いである。 風間景信は愛馬を降り浜にどっかと腰を下ろす。 傍らに置かれるは丈3尺を超えようかという野太刀。 日が中天にあるころに始まった戦であったが、すでに