逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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われら世界軍~”護星王”ベルハルト、かく語りき


エイル暦394年 7の月

 余は、数多の世界を背に立っていた。

 右翼。ドワーフ達と獣人団が豪快に笑い、オーガが得物を振り回す。鱗持つリザードマンが、装甲地龍軍の隣で長槍を構える。後方でスチーム・ゴーレム部隊が熱い息を吐き、古ぶるしき樹精が枝葉を震わす。 

 左翼。見目麗しい綾目模様は、白金と黒曜、両エルフの混成軍。茨の魔術王が髭をしごき、配下どもに令を伝える。瘴気纏うリッチが杖を振るう

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狼兵は死なず、ただ牙を

目の前に座る老人は、枯れ木の如き姿をしていた。吐く息すら枯れていた。

 かつて、我らが皇都軍に第29独立歩兵小隊、通称「狼小隊」なる部隊が存在していたことを知る者は少ない。無論、先の大防衛戦争より数えて百と数十年、最早歴史の教科書の一部としてしか戦争を知らぬ國民が大多数であるが故ではあるだろう。しかし、決して理由はそれだけではない。

 彼らは英雄であった。常時最前線に在り、多大な犠牲を払いなが

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