逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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葛城公爵邸殺し

先代の葛城公爵は花狂いであったので、国内外問わず東西から様々な草花や樹木を取り寄せて自身の屋敷の庭に移植させると、それぞれを競い合わせるようにして職人に栽培させた。
 なかでもとりわけ見事と評判なのは屋敷の洋間から見える椿の生垣で、ここだけは庭男ばかりに頼らずに、先代が手ずから世話を施すほどであった。かように椿の花が格別の扱いを受けるのは、先の殿様が臣籍降下する以前に与えられていた御印章であったた

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己の人生をすこれ
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