逆噴射小説大賞2019:エントリー作品
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本
We“can't”sleep:保安官補佐パトリックの覚書 『Snake oil ①』
イリノイ、クインシーから馬で半日ほどの郊外。ぽつんと立つ小屋を見下ろす丘の上。
俺は退屈に耐えていた。
「しかしだ、またガセじゃないのかね」
何杯目だかわからない安コーヒーを啜り、ぼやく。
「気を抜くなよぉ、パット」
大男のオリバーが愛用のコルトを磨きながら言う。
「“we never sleep”。それに、ハルとジョンが戻る頃合いだよ」
得意げな顔。神はこの男にユーモアセン