逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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マジナイサマ

「どないしたんな」
老人が虚空を眺めながら問いかける。
ぼくの額からは汗がとめどなく流れており、走ってきたせいか鼓動が耳の中に反響する。
「あれを」
ぼくは乾いた唇を舐めて湿らせた。
「あれを知ってたんですか」
老人はちらりとこちらを一瞥して口角を上げた。
「ゆうたじゃろ、あんなとこ行かれんて」
そうだ、止められたのに行ったのはぼくだ。

大神子(おおみこ)海岸は砂地が少なく砂利でできた浜だ。

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