逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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DOPEMAN

 トヨタのプリウスを見かけて、その中にイカした黒人のギャングスタがいるとは誰も思わないだろう。ましてや、ダッシュボードの中にクラックが詰まっているなんて。
 高級スーツを着た記者に聞かれたことがある。「何故クスリを売るんですか?」決まっているだろ。生きるためだ。
 街区の角にフードを目深に被った男が立っている。男はスマホのケースをはずしたりつけたりしている。その手元はおぼつかない。初客のようだ。

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魔法使いの弟子

「魔女!ふへへ…わたしゃ探偵みたいなもんさ。霧の模様もコインの表裏も全部が繋がってる。1を見て推理するのさ、全部をね」

「何でも良いさ。占いの評判を聞いてわざわざNYから来たんだ」
 
「死に際が近いと語りたくなるもんさ。今日の事もわかってた。知らせる事はもうここに」

 俺はツォ婆の差し出すメモを受け取ると拳銃に手をかけた。

「後そこにゃ書いてないけどね。アンタはあと5日で死ぬ。何をしてもね

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心が軽くなります。
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殺意の掟

 もう駄目だと思った。
 山奥の廃村でこの男の頭を岩で潰しておしまい。そのはずだった。
 男はこちらの動きを全て読んでいるかのようだった。雨の中、蛇のようなしなやかさで私の首を掴み、地面に叩きつけた。
「無駄な抵抗をするな」
 男は片手で私を組み伏せながら、胸元から手帳を取り出し地面に叩きつけた。そこには警視庁捜査一課 犬神城と書かれていた。
「警察官5名、刑事3名を殺した連続殺人犯『警官殺し』─

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