逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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神様を忘れた夏

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僕が生まれて初めて女子に告白されたのは、東京にドラゴンが現れた日の夜のことだった。
「好きだから、死んでほしくないよ」
とっくに日の落ちた、夜の学校のプールの底で。湿った水色のタイルの上に二人で並んで寝そべり、真っ暗な水面を見上げていたとき、古屋夕雨香は確かにそう言った。
プールに張られた水は物理法則に反して僕たちの周りを避けていたので、僕たちは息も吸えたし言葉も交わせた。まるで透明なガ

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れいぞうこのまりちゃん

「防風林の向こうのお屋敷に、お化けが出るよ」

ミカちゃんちでスマブラした帰り道でユウリちゃんがそう呟いた。隆明(たかあき)は『おやつにしなさい』とお母さんから持たされた茹でトウキビを齧る手を止めた。

「それって、あれ?」トウキビの穂先でユウリちゃんちの畑の先に聳えるカラマツの植え込みを指す。植え込みよりもっと手前、たわわに実るトウキビ畑の途中から陽炎が昇り、黒い松葉もその奥に建つ赤いサイロめい

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祭りじゃ! 祭りじゃあ~!
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