逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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『左手、落としとく?』

「はじめまして、ずっと前からあなたのことが好きでした」

 松本空港の竜皇回廊口を抜けてきた彼女は、開口一番そう言った。

「私の名前はステラルラ・ドラゴニュート・トニトルス。先輩たち地球人がドラゴ・テラと呼ぶ世界から来たっす。一ヶ月、どうぞよろしくっす」

 くだけた日本語でそう言うと、彼女はぺこりとお辞儀した。直角に腰を折った見事なお辞儀だった。きれいなつむじが目の前にあった。色素の薄い髪が細

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さらに参るぞ
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