ビーバーの尻尾
2019/10/29 12:35
早朝。ひんやりとした心地よい気配に、目を開ける。薄っすらと青みがかかった静謐な空気の中、ぼんやりと周囲に目をやると、部屋が樹海になっていた。ベッドを中心として半透明の植物達が所狭しと生態系を構築し、淡い緑色に発光する粒子が海中のクラゲのように漂っている。苔むした布団から身を起こしあくびをする俺の横を、光る小魚の群れが泳いでいった。「あたりだな」素晴らしい目覚めだ。昨日は大小様々な虫達が