逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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白銀の竜騎兵

待機命令中、シルバーバレットはときどき自らの名について思考を巡らせる。魔を撃ち滅ぼす弾丸。いささか大仰であり、迷信的だ。

 だがシルバーバレットはその名が好きだ。明瞭に自分の役割を表しており、そうあれかしという製作者の祈りが込められている。祈り。苦境にある人々の支えとなる、形なき精神安定剤。

『外界からのアクセスを感知』

『規模は』

『ベヒモス級と推測』

『でかいな! 高知性体だといいが

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右腕狂想曲

「買っちゃった、買っちゃった、買っちゃったんたかた〜ん、フンフンフフーン」
 夜の街を一人の女子高生が歌い踊りながら往く。大きな買い物の後の開放感。今の彼女は正に有頂天そのものだった。
 今の彼女にとって、店の電光看板はスポットライトであり、呼び込みの電子音声は万雷の拍手と歓声である。
 踊り狂うこの女子高生は全身サイボーグでありながら、生身の者と外見がほど近い官制規格品で構成されている。
 ただ

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