逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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【小説】終ワリノ電車ノ向コウガワ

オレンジ色の静かな光が、中身が半分になった梅酒のグラスについた水滴に反射する。

わざと腕時計の時刻に気づかないように、彼のブルーのネクタイと浮き上がった喉仏に視線をあわせた。

ふたりきりの個室の外、数十分前までは人の気配が絶えなかった居酒屋が、だんだんと静かになっていく。夜が更け、終電が近い。あたしは、まだ知らないフリをしている。

タイムリミットに気づかないでと願うあたしの携帯が、テーブルの

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ドングリを食べるリス🐿
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