逆噴射小説大賞2019:エントリー作品
626
本
おいしいお肉の創りかた
諸君、僕は肉が好きだ。
好きなものを好きなときに好きなだけ食べたいという願望に、どうして理由が要るだろうか?
この世界には『魔法』が存在する。
人々は地に空に海に充たされたこの不思議な力を自在に操り、暮らしを豊かにするために創意工夫を重ねてきた。
社会にその力を還元する機関も発展し、魔法学研究者がその役割を果たすようになってから数百年。
僕も例に漏れずその一人であったが、目的は専
ヤツはただひとこと、【フォン】と啼いた。
「もう我慢ならん!俺はやるぞ!」
先日導入されたばかりの最新のAI搭載の戦闘兵器が、今では我が物顔で戦場の指揮を執っている。
新たな戦力に司令官はご満悦のようで、最近は戦いのたびにその兵器のみを連れていくのだ。
「見ろ!あの歩兵達の顔を」
罫線ノートが円卓の隅を見やった。様々な背格好の筆記用具たちには、最早戦場に赴く力強い士気は感じられない。
「古株から若造まで、司令の意思を前線で忠
キッテ・ドリームツアー
安物の日本酒の瓶と、さっきコンビニへ走って買ってきたイカの燻製。
明日は会社も休みだから、ちょっとばかし羽目をはずして一人酒を楽しんだって誰にも怒られない。
私はそれらを風呂敷に包み、深夜零時を待ってからーーー
幸せの詰まったそれをぎゅうっと抱き締めて、床についた。
気がつくと私が立っていたのは小高い丘。
雲ひとつない快晴、風も心地良い。
そして、この満開の桜の樹!
私の腕の