ディッグアーマー
2019/10/09 22:32
「もう、無理」 硝子片が飛び散るビルの陰で那太郎は座り込んだ。日の差す表通りは炸裂音と、敵の外皮がそれを弾き返す衝撃音で満ちている。 打ち上げ花火にも負けぬ轟音を切り裂いて、渦彦の怒声が届いた。「那太ァ!もう一度だ!」「もう無理だよぉ!!」 負けじと那太郎が泣き返す。 大通りには全長100数十mの大肉塊がのたうっていた。繊毛のような密な触手で己の身を支えるポリプ状の蚯蚓。それ