逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集
灰、燃滓のラストダンス
こちらに放たれる光。スポットライトみたいだ。小さな頃はバレエを習ってた。眩しくて客席は見えなかったけど、母さんが見てるって分かってた。
「ドローン、機械兵が8に戦車が1」
通信終了。相変わらず簡潔。何を企んでいるのやら。すぐ目視で確認。不吉な操り人形がモノアイを、巨大な戦車が砲塔をこちらに向ける。戦闘態勢。
嫌になっちゃう、と独りごちてマギ謹製の義足を触る。思い出から戻ってきたら、生きた観客
二人朗読劇『Helix』
阿:海を背中に学校を出れば、
吽:竜神さまはすぐそこに。
阿:山で囲った谷間にぽつり、
吽:竜の鏡はそこにある。
阿:ここは君が生まれた街、
吽:ここは僕が生まれた街、
阿:ここは、海と山しかない街。
吽:この君と僕が住む街で、
阿:二つの針が時を刻み始める。
吽:それは二つの心、心の臓。
阿:右手の法則と左手の法則、
吽:右周りの物理世界、
阿:左周りの心理世界。
吽:決して触れえぬ二つの時が、
パルプ・ハザード!!
俺が投稿ボタンをクリックした瞬間、背後で轟音! 驚いて振り返った俺はさらに驚いた!
「ゲホゲホ…… 畜生、なんだここは?」
部屋に詰め込んだ趣味の本やフィギュアが大地震の直後めいて散乱している。埃が舞う中、ヨロヨロと起き上がって不審げに辺りを見回す女。
誰だ? なんて思わなかった。俺は彼女を知っていた。その姿を肉眼で見るのは初めてだが、俺の頭の中には彼女の全ての情報が入っていた。だって彼女は
週末ヒロイン”スターバスター” 〜ヘレナはクンフーが足りない〜
冬も迫る、肌寒い夜のことだった。
帝都。路地裏で一人の酔漢を三人のギャングが囲み、そのはるか上方。
ビルの端に腰掛けた少女の顔を、ごく細かい粒子が這いずり、結びつき、覆面<マスク>を形作る。
赤ら顔の酔漢は……どうやらギャングの一人の足を踏んだらしく、それをタネに路地裏に引きずり込まれ、有り金を強請られているようだ。
(初舞台に好機)
端的に少女が心中呟き、羽織っていたパーカーを翻し、今や全
インスタントラーメン・クライシス
『何度でも食べられる!自己培養型インスタントラーメン誕生!』
最先端バイオテクノロジーの結晶とも言うべきニュースが世界を駆け巡ったのももう以前の話。
人類にとって長きに渡り愛された革命的即席食品は、新たな革命を遂げて家庭に定着していた。
「今日は……塩にするかな」
俺は部屋の中をとてとてと歩いている『塩』を手招きし、机に座らせた。
家のラーメン達の中ではいい具合に麺と具が育ってきている。
食
復讐機アヴェンジオン
死ねない…
人類の為に戦い、平和を得た矢先に我々を切り捨てた奴らに自分達の流した血の意味を刻み込むまでは…
死ねない…死ねない
彼は機体の操縦室で死にかけていた。
指は力を失い、耳は艦の危機を告げる警告音を捉えることを放棄しはじめ目は赤に染まる。
意識は怒りと何故という思いを手放そうとする。
それでも消えぬ怒りの中、不定形のゲルが彼の指に触れた…
あらゆる機械と同化し己の物とし増殖する謎の生命
弾はFour Hundred
お洒落な角の折れた緑の建物に沢山ある入り口の一つを覗き込んだだけなんだ、僕は。
だって人がいっぱいいて入っていく奴もいて。
とたんにぐいっと引っ張られたら荒野に大勢いて銃弾が飛び交ってるじゃないか。
「新入りか。ここのルールはたった一つだ。銃を作って撃つ!勝ったものにあの輝くお宝が与えられる!」
日に焼けたアクション映画みたいな男は銃を撃ちながらニヤリとこっちを見た。
銃ってなんだよ!ここはなんな