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逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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「逆噴射小説大賞」とは、ダイハードテイルズ出版局が主催し、社会派コラムニストの逆噴射聡一郎先生が審査員に加わる、コンテンポラリーで由緒あるパルプ小説大賞です。今回の本文文字制限は… もっと読む
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2018年10月の記事一覧

創世巨人のゼナン

創世巨人のゼナン

「おはよう、被検体49号。言葉はわかるよね」

突如現れた異界の科学者。彼のもたらしたクローン技術は世界を変えた。最強戦士のクローン、伝説的剣士のクローン、選ばれし勇者のクローン…その力は邪を圧倒し、人の世は平和になった。

…はずだった。

「僕の名はマガタ。人間に滅ぼされた魔王のクローンだ。

そして彼は偉大なる夜の一族、その始祖のクローン。あっちのは大陸を腐海に沈めた魔導士のクローンで、僕ら

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灰、燃滓のラストダンス

灰、燃滓のラストダンス

こちらに放たれる光。スポットライトみたいだ。小さな頃はバレエを習ってた。眩しくて客席は見えなかったけど、母さんが見てるって分かってた。

「ドローン、機械兵が8に戦車が1」

通信終了。相変わらず簡潔。何を企んでいるのやら。すぐ目視で確認。不吉な操り人形がモノアイを、巨大な戦車が砲塔をこちらに向ける。戦闘態勢。

嫌になっちゃう、と独りごちてマギ謹製の義足を触る。思い出から戻ってきたら、生きた観客

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パルプ・ハザード!!

パルプ・ハザード!!

 俺が投稿ボタンをクリックした瞬間、背後で轟音! 驚いて振り返った俺はさらに驚いた!
「ゲホゲホ…… 畜生、なんだここは?」
 部屋に詰め込んだ趣味の本やフィギュアが大地震の直後めいて散乱している。埃が舞う中、ヨロヨロと起き上がって不審げに辺りを見回す女。
 誰だ? なんて思わなかった。俺は彼女を知っていた。その姿を肉眼で見るのは初めてだが、俺の頭の中には彼女の全ての情報が入っていた。だって彼女は

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幸せは温い鉄砲

黒色火薬を飲み下すことで仮病を装うのは一昔前の軍記物ではありふれた手法であるが、阿見田かるかはそれを3限目の小テスト中に実行した。こんなメールを見たからだ。
「授業中にすまない。だがもう俺は駄目だ。今日、お前を撃つ」
30分後。かるかが屋上に着いた時には全ての準備は済んでおり、10年前死んだはずの先代校長は火縄銃を抱えて立っていた。
男は口から飴玉を取り出し、火薬と共に銃身に装填した。鉛とザラメと

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週末ヒロイン”スターバスター” 〜ヘレナはクンフーが足りない〜

週末ヒロイン”スターバスター” 〜ヘレナはクンフーが足りない〜

冬も迫る、肌寒い夜のことだった。

帝都。路地裏で一人の酔漢を三人のギャングが囲み、そのはるか上方。
ビルの端に腰掛けた少女の顔を、ごく細かい粒子が這いずり、結びつき、覆面<マスク>を形作る。

赤ら顔の酔漢は……どうやらギャングの一人の足を踏んだらしく、それをタネに路地裏に引きずり込まれ、有り金を強請られているようだ。

(初舞台に好機)
端的に少女が心中呟き、羽織っていたパーカーを翻し、今や全

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インスタントラーメン・クライシス

『何度でも食べられる!自己培養型インスタントラーメン誕生!』

最先端バイオテクノロジーの結晶とも言うべきニュースが世界を駆け巡ったのももう以前の話。
人類にとって長きに渡り愛された革命的即席食品は、新たな革命を遂げて家庭に定着していた。

「今日は……塩にするかな」

俺は部屋の中をとてとてと歩いている『塩』を手招きし、机に座らせた。
家のラーメン達の中ではいい具合に麺と具が育ってきている。

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復讐機アヴェンジオン

復讐機アヴェンジオン

死ねない…
人類の為に戦い、平和を得た矢先に我々を切り捨てた奴らに自分達の流した血の意味を刻み込むまでは…
死ねない…死ねない

彼は機体の操縦室で死にかけていた。
指は力を失い、耳は艦の危機を告げる警告音を捉えることを放棄しはじめ目は赤に染まる。
意識は怒りと何故という思いを手放そうとする。
それでも消えぬ怒りの中、不定形のゲルが彼の指に触れた…

あらゆる機械と同化し己の物とし増殖する謎の生命

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弾はFour Hundred

お洒落な角の折れた緑の建物に沢山ある入り口の一つを覗き込んだだけなんだ、僕は。
だって人がいっぱいいて入っていく奴もいて。
とたんにぐいっと引っ張られたら荒野に大勢いて銃弾が飛び交ってるじゃないか。
「新入りか。ここのルールはたった一つだ。銃を作って撃つ!勝ったものにあの輝くお宝が与えられる!」
日に焼けたアクション映画みたいな男は銃を撃ちながらニヤリとこっちを見た。
銃ってなんだよ!ここはなんな

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ライム・ライト

ライム・ライト

「俺、この戦いが終わったらコロナにライムを刺して飲むんだ」
 この台詞が死亡フラグと呼ばれるようになって、三年が過ぎた。
 あるとき、どういうわけか、世界に分布している柑橘類の中でライムだけが枯れていく現象が起きたのだ。
レモン、蜜柑、グレープフルーツがたわわに実る中、ライムだけがしょんぼりと枝を垂らし腐っていく。科学者と農家達はこの事態を解決すべくあらゆる手を尽くしたが、それでもこの奇病の進行を

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竜の戒名

竜の戒名

山の稜線ごと消し飛ばしそうな轟音の後、狩人は「外したか」とだけ言った。
砲声ではない。銃声である。とてつもなく大きな銃だ。尋常の銃でなければ、射手も尋常ではなかった。墓場から蘇った死人のように細く生気のない肉体でありながらなぜこんなものを一人で扱えるのか、メイベルには想像もつかなかった。
「何を狙ったのよ」
衝撃にふらつきながら問う。ただ森を闇雲に撃ったとしか見えなかった。
「己が狩るのはドラゴン

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ソリッド・シェル・ソウル

ソリッド・シェル・ソウル

「何が楽な仕事だ、まったく」

思わずぼやく。
標的は傭兵崩れ。魔術師の類はおらず、数も十人ほど、のはず。

『一杯食わされたか。正直に話すと俺らが断ると思ったんじゃないか』

が、実際の敵は三十人を下らない。さらに男たちが取り囲むのは、小屋のような鉄の箱だ。眼球に投影された解析結果には【軽戦車】とある。

「次から個人の仲介屋は信用するなよ」
『そうする。で、どうする?』
「やめとくと言いたいけ

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泉さんは人殺しも上手

   空き巣に入った先で人間の解体作業が行われていた、という事例は、この世にどれだけあるだろう。しかも、学生時代の同級生と再会するというオプションつき。
「東田さん、お金欲しいんでしょう。少しは出せるからさ、手伝ってよ。それで空き巣の件はチャラ」
   と、泉さんは言ってのける。ノコギリを持つ手を休めないそのさまに、昔からテキパキした子だったと思い出した。
   青いビニールシートが敷かれた風呂場

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夢のゾンビ生活

 俺は念願のゾンビになり、ムカつく奴らを噛みまくっている。
「うああああ!来んな来んな!あああ!!」
 ビビりまくってるコイツは竹村。
 前のバイト先で俺を散々コケにしていた奴だ。
 竹村を壁際に追い詰めた俺は、勝ち誇って叫ぶ。
「うおおおまえ!まえは苦しんで死ね!」
 生前とは比べ物にならないゾンビの怪力で竹村を掴むと、俺はそのままコイツの腕や肋骨を握り潰す。
「ああ!ぎゃあああ!!」
 恐怖と

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ギターを抱いた渡り猫

コバーンの手下、あのニボシ臭いハチワレどもの頭をあニャあきチーズに変えてやったのは、ここニャン年かで二番目に気分のいい出来事だったが、(一番目がニャニかって?あんたみたいないい猫とこうしてお話しできてることかもニャ)そのおかげで、町から町へ、渡り鳥ならぬ渡り猫、ってわけさ。まあ、俺には幸い相棒のこいつがあるからニャ、こいつをかきニャらしながら、甘い歌の一つでも口ずさめば、とりあえず食うものと宿に困

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