逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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どうせ死ぬなら本屋で死なせて

本屋でぶつくさ言いながらページをめくっている。娯楽小説の冒頭だけ次から次へ。本屋からしたら迷惑極まりないだろうが、まぁ本の扱いもまだ丁寧だろうし、そもそもここでアホみたいに本を買い続けてるんだ、許して欲しい。店舗型の特権でしょう?

 にしても書く側の目線で読むと小説は狂っている。自分の書いたものがクソに見えてくる。冒頭だけ書けったって何が出来るんだ、今読んだ長編小説の冒頭1ページなんか何の情報も

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心が軽くなります。
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箒星人形の物語

寂れたパブで赤い顔をした娼婦の女性が酒を飲み、隣に座る誰かに話しかけている。
「ねえハンサムさん。今日もいけてるわよ」
 相席者は返事をしない。当然である。彼は箒星人形だからだ。

 箒星人形。それは30年前に流行った人形でぜんまいを巻くとギターを弾いてくれる。それだけの人形だ。当然彼女の話に返事をすることはない。だが彼女はいつもここにきてポツポツと自分のことを話していく。
「見つけたぜ」
 その

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色恋沙汰って戦いだ!

「……なんて?」
「だから俺か」「この私か」
「「どちらと結婚する?」」
突然の申し出に、女は困惑の表情で目の前の男達を見た。
彼らのことはよく知っている、世界でも指折りの探検家と運び屋にして、昔からの大事な友人達。
何度も命懸けの経験を共にした、心から信頼出来る相手。

その二人が今、まるで役者のように様になる姿で一輪の花を持って跪き、告白してきているのだ。結婚しよう、と。
「アタシと? 嘘でし

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ゴミ収集家と猫

私は死んでいる。”死んだ”というほうがタイムリーかもしれない。

「死人が文章を書けるわけない」

ごもっともである。

私は死んでいるかもしれないし、生きているかもしれない。

そう。

シュレディンガーの猫ならぬ、シュレディンガーの男だ。

ともあれ、これを読んでいる貴方が”観測”するまで、”死んだ私”と”生きている私”が存在することになる。

当然だが、世界のメモリには限界がある。(宇宙は広

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