逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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泥斬り稼業

ドブ長屋のクズ共が死んだ理由は三つある。五日続いた豪雨と、役人が積み上げた鉄屑と、貧乏。要は三つ目だ。もっとマシな所に住んでいれば崩れたゴミ山に潰されて死ぬこともなかった。泥油と混じって蘇り、俺のようなガラクタ人形に斬られることもなかった。

「五つ」

 無造作に蒸気刀を振る。何の抵抗もなく屍泥は斬り倒される。

「六つ」

 もう一匹。肩の歯車が軋む。

「七つ」

 半壊した天井から泥油が垂

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極楽転送機

「いいか。君には二つ、選択肢がある」

 殺風景な部屋。
 眼の前でパイプ椅子に縛られ、涙と小便を垂らし、ガタガタ震えている若い男に、俺はいつものように無表情に告げる。
「一つはここで、鉛玉を眉間に食らって素直にくたばること。もうひとつは……」
 親指で後ろを示す。こいつの仲間数人が、棺めいた機械装置に寝かされ、管まみれになっていく様を。
「あれだ。半年ほどだが、死ぬまで幸福を味わえる。夢の中でな

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