逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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たとえ死が私を歩もうとも

 急ブレーキで車を止めると俺は毒づいた。窓を開けて今しがた轢きそうになった相手に怒鳴ろうとしたが、声が出なかった。
 ヘッドライトの先には子どもがいた。小学生ぐらいで、クマのぬいぐるみを担いでいる。それを見てなぜか俺は戦争映画を思い出した。
 嫌な予感がした俺は黙って車をバックさせはじめる。が、車と同時に男の子が動いた。まるでワープした俊敏さで助手席にしがみついた。
「乗せて! 乗せて! 乗せろお

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そのスキがわたしを救う
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私をぎゅっと抱きしめて

 ここは人間とぬいぐるみが共に生きる街、ドリーミング・シティ。
 いつもは明るいこの街も、あいにくの大雨によっていつもとは違う、暗い雰囲気が覆っていた。濃い雨でぼんやりと光る広告群が睥睨する中、黒いブルゾンを着た少女が走っていた。
 腕に抱えられた白いユニコーンのぬいぐるみが、持ち主の少女を不安そうに見上げる。
 その時、正面を三体の黒い熊のぬいぐるみが行く手をふさぐ。右足首には『BLACKBEA

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なんてこった! まさか「スキ」だなんて!
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