逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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花の婚礼

それが何年前の出来事だったか、今となっては定かではない。

僕と友人は長い休暇を利用し、遥か異国の街へと観光に来ていた。

華麗な建造物の合間を縫うように、強い日差しを照り返す石畳の坂道が、上へ下へと曲がりくねりながら、どこまでも続いている。

2頭の驢馬が、大きな果物籠のような荷台を背に乗せ、急な坂道をゆっくりと進む。
それぞれの荷台で揺られているのは、僕と友人、そして観光客一人ずつについている

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🌊🌷🌶🐬✨🌈
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【石の街】攻防記

その日、大量の水が街を襲った。

呪術結界が施された強固な石の外壁が、轟音と共に押し寄せた水流によって破壊された。

外部からの攻撃だ。

やつら、とうとうここまで力をつけやがったか。自治会のおじさんがぼやいた。度重なる攻撃が段々と威力を増しているのは、僕も感じていた。

ひとしきり荒れ狂った濁流は、昼前には収まった。幸い死者は出なかったが、街中が水浸しになった。

誰しもが異変に気づいたのはその

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うなぎだよ
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R.E.T.R.O.=/Q

《街》にダイヴするとき、決まって全身全霊を総毛立つような感覚が駆け抜ける。

自我を除く全情報が書き換えられ、私達は指定座標に出現する。
私は耐刃レザーのボディスーツ、パートナーのエドはへんな騎士鎧の姿だ。

「なあオリー、本当にこんな場所に適合者がいると思うか?」
エドの機嫌が悪い。
「さあね、おやっさんが言うのだから確かでしょうよ」

《街》。それは無限に続く巨大な一本の通廊の形をした閉鎖系世

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