逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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マリッジブルーと沼の城

生暖かい吐息が顔に吹きかかり目を覚ます。まず聞こえたのは天幕が引き破れ支柱が折れる音。続いて見えたのは産毛のはえた老木のような肌だった。

 沼すすりだ。

 手垢が擦りこまれた猟銃を掴み、轢き潰されつつあるテントから慌てて逃げ出す。温厚な生物ではあるが人を食うことに躊躇いはない。充分に離れた後、木の根に腰を下ろしてその捕食の様子を見守る。沼ごと屍肉と魂を啜るその生態は強く忌避感を呼び起こす。頭部

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