三宅つの
2018/10/23 00:32
「いいか。君には二つ、選択肢がある」 殺風景な部屋。 眼の前でパイプ椅子に縛られ、涙と小便を垂らし、ガタガタ震えている若い男に、俺はいつものように無表情に告げる。「一つはここで、鉛玉を眉間に食らって素直にくたばること。もうひとつは……」 親指で後ろを示す。こいつの仲間数人が、棺めいた機械装置に寝かされ、管まみれになっていく様を。「あれだ。半年ほどだが、死ぬまで幸福を味わえる。夢の中でな
2018/10/17 00:25
「あれは、ただの地震ではない。『釈迦ヶ嶽雲右衛門』がロサンゼルスに現れたのだ」谷松と名乗った老人は、そう、ぼくに告げた。「………一応は知ってますけど、あれですか? あの大惨事が、その、江戸時代の力士によって?」ぼくは彼の正気を疑った。そんなニュースは当然、どこにも見当たらない。「そうだ。彼らは『見えない』。普通の人にはな。大地のエネルギーを感じ取れ……」「帰って下さい! うちは仏教