逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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陸奥ミステリアスツアー ~奥の細道異聞~

「大変大変!乗り遅れちゃう!」
上野駅で東北新幹線のホームに向かう途中、メイドさんが僕を追い越していった。
ものすごく可愛いけど声は何故かイケメン。プラチナのショートヘアからヘッドドレスが落ちる。
「落としましたよー!」
彼女?を追って新幹線乗り場入り口の改札を通過し、エスカレーターに足を踏み入れたその時「あ・・・!」
僕は足を滑らせて転げ落ちた。地下へ続く長い長いエスカレーターを。
「うわぁああ

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夜叉ノ町 章ノ一

夜叉ノ町
 はじめから
 ▷つづきから

 押し入れに眠っていたニンテンドーDSに、見覚えのないソフトが挿さっていた。

 興味本位で立ち上げて「つづきから」を選ぶと、画面に俯瞰形のマップが表示される。中央に刀を持ったアバターがいて、妖怪みたいな奴らに囲まれている。

「やっぱ覚えてないな…」

 方向キーでキャラが歩き、Aボタンを押すと正面の妖怪が両断される。アクションRPGのようだ。とはいえ特

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🍑🍑🍑🍑
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”観ているぞ”

”watching you”

 玄関の扉に張り紙が貼られている。どうせ誰かのイタズラだろう。靴を脱ぎ捨て、惣菜をレンジに投げ入れ、パソコンを起動する。

”watching you"

壁紙にデカデカと瞳が文字が表示される。ウィルスか?セキュリティソフトを走らせ、惣菜を取りに行く。

"watching you"

レンジを開くと、大きな瞳がこちらを覗いてくる。

”watching you"

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🐜🐜🐜🐜🐜🐜🐜🐜🐜🐜
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おまじないは皮を剥いて

最近うちの学校ではみかんの皮を使ったおまじないが流行っている。
まず、みかんを皮がヒトデ型になるように剥いて、内側にそれぞれの願いごとを書き込む。
そしてその皮の先端をおまじないに参加する人がそれぞれ持ち、願いを意識しながら引っ張って裂き、手元に残った皮の断片を乾燥させお守りにするのだ。
そうすると願いを叶える手助けをしてくれるのだという。

剥かれておまじないに使われたのは、みかんだけでなく

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ブンタンをあげます
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魂の蚕食者 Ab-Hastrum

「噫! アブ=ハストラム!」

 彼はそう叫び、息を引き取った。痛ましくやつれ果てた姿で。彼はスポーツマンだった一方で読書好きで、図書館に籠ってる様な私ともよく話が合った。いい奴だった。

 最期の彼の言葉、アブ=ハストラム。それはアリエル・モントロール作のファンタジー小説“Wrtum”シリーズに登場する邪神の名前だ。

 物語の最大の敵であるアブ=ハストラムは、邪悪な者共を率いて異世界ウルトゥム

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ピクルス!〜僕の相棒〜

「ピクルス!あったよ!」

僕はテーブルの大瓶に札束を見せる。
ピクルス、と呼ばれた瓶にはホルマリン漬けの生首が入っていた。

「そいつぁ重畳!でも汚れてよく見えねぇナ。」

僕はお母さん"だった"物からハンカチを取り、瓶を拭く。

「これでどう?」

「気がきくねェ!相棒の手際にはお天道様もひっくり返っちまうゼ。」

お父さん”だった”物も関節に合わせてナイフを入れ、燃えるゴミの袋に投げ入れる

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三🎍三🎍三
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タンス預金をしていると聞いたので全額下ろしに来た

罪と罰だっけ?金貸しババアをぶち殺して大儲けする話って。まあ、俺達もそんな感動的な話にあやかりたくて、タンスにしこたま貯めこんでるって婆さんから、恵まれない子供たち(俺)のために寄付してもらおうと、家まで来たわけなんだわ。
 「すまねえ、アニキ……このババアがいけないんだよ、小さい頃オレをいじめたバアちゃんそっくりなんだ」
 「オメエは悪くねえよヤス。うん。とりあえず、タンスだかぬか床だかを探して

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フライング・ベイビー・ブルース

空がどこまでも青い日だった。
 その日生まれた赤ん坊の背には、みな白い羽が生えていた。
 愛らしく、ちいさく、いとけない羽だった。
 濡れた羽が乾く頃、赤ん坊たちは一斉に飛び立った。
 生まれたばかりの赤ん坊たちは、まだ笑うことも知らず、おわあおわあと泣きながら青空へと昇って行った。
 恐れ、嘆き、喚き散らす大人を顧みることなく。 

 あの事件からちょうど40年が経つ。
 つまり俺もちょうど40

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食人キノコの恐怖

「どうして、なんで、どうして」
体育倉庫の裏で見つけた真っ白なかたまりが私のミカの成れの果てだと気づいた瞬間、全身が凍りつくような感覚におそわれた。
昨日食事したときはまだ元気であたたかくてやわらかくて甘い匂いときれいな顔をしていたのに、今は白い綿毛のような菌糸に全身を覆われていてちぎれた肉の間からはたくさんのシメジみたいなキノコの傘が突き出ている。
胸から下はすでに原型を留めていなくて、キノコま

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シトラスあげます
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恐怖!殺人ハムスター!

「チカちゃあああああん!」
ペットショップで金魚を眺めていた僕が金切り声に驚き振り返ると、上半身がクマのように肥大したゴールデンハムスターが半狂乱の女を叩き潰しているところだった。人の形に膨らんだほお袋からは、はみでた子供の足がぶらんぶらん。

蜘蛛の子を散らすように客が逃げ出す。当然僕も逃げる。
割れる水槽、飛び散る金魚。
ペシュッと妙な音と共に頬を何かが掠める。何だ?タネだ!ヒマワリのタネ!

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ハッサクをどうぞ
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