逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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【冒頭】モンピートン、彼のための宇宙

まだ何もなかったが、閉じた水門のきわには意味深げに上流から流れ込んできた廃材が溜まっていた。鋼鉄加工廃棄物とプラスチックごみ、期限が切れた工業用の人工シナプスが少し。不法投棄の廃油が大量。爆弾低気圧が投げ捨てた雷が数億ボルト。まだ何もなかった。
 集中豪雨の後、油膜の浮いた溜め池で羽化した、もろっとしたトンボが一匹、帯電した産業廃棄物の上にとまった瞬間、溶けて染み込んで消えた。瞬間、彼は堆積物の中

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