逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集
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本
Bang Boo Race
ホントに俺じゃないとダメか、ともう一度パンダに訊いた。
「いやぁ、だってボク、踏めないし」
パンダは照れたように言う。まだ一回も運転したことないんだぞ、と喉元まで出かかった。パンダは自分の足で歩いたことすらないのに。
目の前には完成した手製のホーバー(※浮遊二輪車のこと)が置かれている。キーを捻れば起動してふわっと浮くだろう。ペダルを踏めば進むだろう。この埃臭い倉庫で何度も点検したか
「異能例外少女イレギュラー稀ッ!!」
超次元主観性アドバルーンが上空(つまり地上に最も近い)を飛び回り視界の左へ抜けて右から出てきた。
「ようこそ!ここはアブノーマルシティ。超常能力が蔓延して異常であることが常態化した飛空都市さ!さぁ君も普通市民登録をしよう!!」
「だから、僕は登録を弾かれたんだってば」
ぼくがそう応える前に感情察知によってアドバルーンは実在性を希薄化させて他の新入りの視界へ移動していた。この都市へ出向となって
サマー/タイム/クライシス ~冬の少年~
サマータイム導入に失敗し、日本は永遠の夏に閉じ込められた。時間がループしているのか、それとも夏以外の時間を消してしまったのかは未だに議論されているが、ともあれ今日も私達は寝苦しさと戦っている。
「あっついね~」
みっちゃんが制服のスカートをパタパタとさせながらぼやいた。口にアイスを咥えながら器用なものだ。
「生まれた時から夏なんだからいい加減体が勝手に慣れてくれればいいのにね」
隣の私も真