三宅つの
2018/10/11 18:54
「ルィイイウィ……イイイイ……ウィイイィ……」洛陽の上東門。埃っぽい雑鬧を横目に、少年が門柱に倚りかかり、嘯いている。年の頃は十代半ば。深目隆鼻の胡(えびす)である。まわりの大人も、みな胡。老いた門衛も懐かしそうに目を細めている。「これ、バイよ。騒ぐでない」叱られ、少年は喉歌をやめる。生意気そうに、ふん、と鼻を鳴らす。「おじさん、いつもより人通りが激しいのは、なんでだい……」「帝が