逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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俺たちに死者の日は来ない!

メキシコ麻薬カルテルのボス、リンゴはいつものように裏切り者をどう始末するかの会議で残虐な殺し方を提案したあと、麻薬を売って築いた邸宅の庭で葉巻を吸っているときに強い衝撃が頭を襲い、気を失った。

「起きろ、起きろ」
 リンゴは肩を揺さぶられ目を覚ますと車の中にいた。手には手錠。運転席を見ると見知らぬ白人男がいる。
「誰だ、きさま」
「わからないのか?」
 男は痩せこけた頬を引きつらせた。
「お前に

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荒野の探偵

その男は寂れたバーの扉を押し開けて現れた。
「水をくれないか」
 男はイギリスなまりで言う。それが癇に障ったのだろう。今、イギリス人は荒くれガンマンと向かいあっている。決闘だ。
 両者の間に乾いた風が吹き抜ける。バーの店主が思わず唾を飲む。そして緊張が張り詰め、張り詰め……弾けた瞬間、両者はほぼ当時に銃を抜き、銃声が三度鳴り響く。
 ガンマンは目を見開き、地面に銃が二丁落ちる。
「てめえ、なんで」

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ガーデニング・ガーディアンズ

アメリカの男にとって庭は己の顔だ。芝生の状態で地位、性格、年収、様々なものがわかる。故に休日の午後は芝刈り機を手に庭を整える。それが俺、ダディ暦7年。ケイシー・ジョブの過ごし方。だが今日はいつもと力の入れ方が違う。
 何故なら来週に大統領主催のガーデニングコンテストが控えているからだ。去年は優勝を逃したが今年は一味違う。レッドソックスのフェンウェイ・パーク並みに美しい芝生だ。優勝間違いなし。無論、

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ドランクン:ハードデイ

目を覚ますと手には銃。そして目隠しされた人がざっと50人ほど。
「よう、目が覚めたか」
 声がした方には妙に親しげな覆面がいた。
「急に寝るから驚いたぜ」
 何も思い出せない。俺は何をした? 頭痛。そして記憶が蘇る。
 そうだ、確かパブに入り、この男と浴びるほど酒を飲んで──。
「まさか刑事がテロに加わるなんてな」
 なんだって? 正気か? 俺がテロ? だが酔った勢いならそれもあり得る。俺は酒癖が

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