逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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ハロウィンナイト・コー!ホー!

ハロウィンは祭では無い。商戦だ。セールス・コンピューターと呼ばれる俺の仕事はこの戦いを制することである。

「…という訳で暫く忙しい」

「ふざけんな!」

木杭が撃ち込まれるが、難なく躱す。

「分かってるのか!?私たちはモンスターなんだぞ!?」

「だから?」

「絶対ハロウィンの人気者になれるだろ!」

オオカミ女の妻 シーラはイベント好きだ。今回も随分はしゃいでるようだ。

「シーラ、この

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心が軽くなります。
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エイリク大陸物語①「獅子王と甲冑の騎士」

0.王都にて

 夕刻、黒馬に乗った騎士がただ一人出陣した。黒光りする甲冑は禍々しく、その下の素顔を見たものは無い。もっとも<<英雄殺し>>が王城から出ることは少ない。英雄マルスがあのように討たれてからは特に。

 また一人希望の担い手となっただろう少年が死ぬ。<<英雄殺し>> の行軍を目にした者は皆、顔も知らぬその子の為に祈った。

 しかし、行軍が目的地に近づいてくると人々の反応も変わった。今

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秋風の夜

雨が打ち付け窓が揺れる。今夜は野分が私の家のあたりに来ていた。

 野分は嫌いだ、休校は大歓迎だが災害は必ず誰かを傷つける。今夜は寝付け無さそうだ、そう思い寝所を出て1階の台所を目指した。

 階段を下りるたび軋む音は雨音で祖母に聞こえないだろうけど、なるべく起こしてあげたくない。台所に着くと冷蔵庫を開け適当に飲み物を取り出す。

 1階を放浪しているとふとチェストに目が留まる。祖母が嫁入りの際に

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4

国葬前夜

嵐が去った次の朝。数千年を生きた人類の友は、厩の中で胸を貫かれた状態で発見された。その報せは深い悲しみと共に、一夜にしてスタリア王国全土に知れ渡った‐‐

「まだ空も飛べない幼体だ。さぞかし楽な仕事だったろうな」

その夜の酒場には、踊り子も吟遊詩人も居なかった。客と店主は既に逃げ、静まり返った室内に残るのは、武装した四人の傭兵たちと、彼らに取り囲まれている灰色の髪の男のみだ。

テーブルの上には

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アリガト!
5

クリーチャー・ゲート

――俺の口の中から何かが飛び出す。それはゆっくりとした動きで長い舌を伸ばし、頬を舐めてきた――

 俺は悲鳴を上げて飛び起き、ベッドから転がり落ちて床の上の空き缶を蹴り飛ばした。

 不快な感触が残る頬をこすり、尻もちをついたまま狭い部屋を見渡す。

 床にはビニール袋に詰めたゴミや脱ぎ捨てた衣類が散乱し、台所のシンクでは洗われるのを待っている食器たちであふれている。カーテンの隙間からは朝の陽ざし

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