逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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21XX年プロポーズの旅 (1)

──付き合って2年の記念日に、ちょっと良いところに旅行に行こう。

 そんな提案をきっかけに、僕らは月への小旅行に出ることになった。
 この旅で、僕はプロポーズする。最高のタイミングで晴れの日を迎えられるよう、念入りに準備した。

「…はずだったのになぁ」
「あぁ? なに言ってんだおま゛ッ!?」
「逃げるよ、リカコ!」
 僕は目の前にいた黒服を殴り倒し、彼女の手を取って走り出した。

「おい逃げた

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🍑🍑🍑🍑
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羊たちの黙示録

自己増殖機能を持った羊型アンドロイド(オートマトン)の発明から半世紀。牧草を食べ鉄羊毛(スチールウール)を生産するオートマトンにより資源危機は解決。
 だが別の危機が発生する。プログラムミスにより100万頭分のリソースが費やされた超オートマトンの誕生である。人語を解し、種の在り様と人類との関係を憂い、ついには武力闘争を開始。
 彼はそのカリスマと能力、ブルースチールの体毛色から「蒼き狼(ジンギスカ

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キラークイーンは既にスキボタンに触れている!
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落ちてきた空の下で

昔、空は鳥と人の物だった。
 今は、鳥だけの物だ。

 大空墜〈アトラスダウン〉により全人類と人造物は空から閉めだされた。高さ1.5mより上は不可視の障壁により何人たりとも立ち入れない。地上に住む物好きは這人(ローチャー)か矮人(ドワーフ)くらい。
 私は新宿駅に暮らす普通の女子高生。普通じゃない点は人より背が高い事と、飛行機部の部長をしている事だ。
 飛行機。空を支配していた機械。部の目標は、卒

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パワリオワー!
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good-bye world

明日、世界が滅んで何も無くなったら良いのに。

そうすればあの嫌な旧式の店長の顔を見なくていいし、明日の飯の心配も要らない。
総人類機械化計画が完了したってのにあたしの生活水準は80年ずっと苦しいままだし、これから先もずっと同じ朽ちない体で永遠にケチな仕事を続けていくのだろう。機械化すれば人類は労働から解放されるって触れ込みは何だったのだろう。

馴染みのスタンドでいつもの固形フードとワンカップ酒

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ハント・イズ・カミング

灰色の雲間から光がさし、雨に濡れた緑豊かな大地を照らしたかと思うと、光を追ように赤黒い触腕が蠢きながら降りてきた。

「さっき食ったツナサンド吐きそう」

電磁装甲の頭部ハッチを開き、数キロ先の光景を見て俺はぼやいた。

『やめろ汚い』

神経質な黒弦からの無線だ。

『あら、この光景より汚らわしいものって?』

イーディスは何かキメているのかやたらご機嫌に話す。

『お喋りを止め

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