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逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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「逆噴射小説大賞」とは、ダイハードテイルズ出版局が主催し、社会派コラムニストの逆噴射聡一郎先生が審査員に加わる、コンテンポラリーで由緒あるパルプ小説大賞です。今回の本文文字制限は…
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#パルプ小説

創世巨人のゼナン

創世巨人のゼナン

「おはよう、被検体49号。言葉はわかるよね」

突如現れた異界の科学者。彼のもたらしたクローン技術は世界を変えた。最強戦士のクローン、伝説的剣士のクローン、選ばれし勇者のクローン…その力は邪を圧倒し、人の世は平和になった。

…はずだった。

「僕の名はマガタ。人間に滅ぼされた魔王のクローンだ。

そして彼は偉大なる夜の一族、その始祖のクローン。あっちのは大陸を腐海に沈めた魔導士のクローンで、僕ら

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パルプデーモン・チーフ

パルプデーモン・チーフ

「やっぱりミュータントだよ……!」

 編集長はバッサリ。俺の顔に原稿が投げつけられる。

「悪魔とか妖怪は宗教色強すぎるとおもうわぁ。時代受けしない」

「でも」俺は食い下がる。ここで、曲げたら作家の俺はオワリ、ジ・エンドだ。家賃も払えず野垂れ死ぬ。

「敵がミュータントなら何でもできるし、どんな形にでもできるでしょ?わかってんの?触手ウジュウジュ〜!ね?」

「じゃ、じゃあ、ダックスフンドミュ

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メキシカン・ラプソディ

メキシカン・ラプソディ

10月31日の夜。僕は先刻投稿した『プログレッシヴ相撲』の記事共有ツイートを送信すると、大きく伸びをした。
『パルプ小説冒頭400字』。楽しい企画だったが、応募は今ので最後だ。今日はもう休もう……。

KRAAASH!

その時突如、アパートの扉が破砕!一体何が?僕は戸口の向こうを見遣る。

そこにいたのは力士だった。

僕はそいつの奇妙な出で立ちと、投稿作品一覧が表示されているPC画面を交互に見

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俺たちに死者の日は来ない!

俺たちに死者の日は来ない!

 メキシコ麻薬カルテルのボス、リンゴはいつものように裏切り者をどう始末するかの会議で残虐な殺し方を提案したあと、麻薬を売って築いた邸宅の庭で葉巻を吸っているときに強い衝撃が頭を襲い、気を失った。

「起きろ、起きろ」
 リンゴは肩を揺さぶられ目を覚ますと車の中にいた。手には手錠。運転席を見ると見知らぬ白人男がいる。
「誰だ、きさま」
「わからないのか?」
 男は痩せこけた頬を引きつらせた。
「お前

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正義のヒーロー太郎が世界を救う(もしくは壊す)話。

世界に選択された男。太郎はヒーローになった。

正義の味方である太郎はまずは目の前の悪を是正しなければならない!

太郎の通う学校にはいじめがあった!

弱き者をいじめるものは悪だ!
だがいじめを行っている彼の家庭環境は最悪だった。つまり本当の悪は彼の家庭環境だったのだ!
だが彼の家庭環境が悪いことになった原因は彼の親の職場の理不尽な要求にあった。つまり悪は会社にあったのだ!
だがその会社が理不尽

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【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #1(第1話:1/4)

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #1(第1話:1/4)

死人に口なし? あるよバカタレ。
-ジュディ-

「ああジュディ。深夜にすまない」
バリケードテープをくぐる老婆にゴードン特別捜査官が声をかける。

「ったく。こんな山奥の道端でババアが死ぬかい?」
不満を垂れながらジュディは咥え煙草を始末し、ざっと死体を観察した。
「手首の擦過傷と足の具合からして監禁された後に徒歩で山中を逃走… 道に飛び出し轢死。監禁場所は半径2マイル圏内か。退屈な事件」

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エッテクルッバの森

エッテクルッバの森

「王様は死んだ! 王様万歳!」

血塗れの棍棒を持つ若い男に、蓬髪の老人はそう呼びかけた。
今からこの男が王だ。王を殺したのだから。男は震える声で問う。
「お前も、俺を殺すのか?」
「んにゃ。わしゃ殺されとうないでな。見届けるだけだ」

某県の深い山中。日本中から犯罪者、無宿者、多重債務者、自殺志願者、狂人、徘徊老人、不法難民、その他諸々が集った廃村。そこには人知れず、小さなコミュニティが形成され

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ラスティ・ドールズ

……がりがり、ざりざり。がりがり、ざりざり。
自動人形AM-967A”クロナ”は、砂と錆だらけの関節を軋ませ、瓦礫と砂塵の原野を歩んでいた。
「もっとキリキリ歩けや、阿婆擦れめ」
衛星通信を介して野卑た音声が届く。
「ったく、俺なら半日もかかんねえ距離だぞ。直接降りられりゃあな」
なら自分でやればいいだろう。
クロナは怒りを覚えたが、それを表現する罵倒の言語アセットは持ち合わせていない。
だから、

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異世界人材派遣ワープ(株)

キキーッ

とてつもない速さでトラックが駆けていく。

「おい!このままだと指定の時間に間に合わねーぞ!」
「わかってる!」

さらに加速していくトラック。

「いたぞ!あの少年だ!」

おれはアクセルを更に踏み込んだ。

GYURURURURURURURU BOKAAAAAAAN!!

おれは少年を轢き殺した。
まぁ厳密には殺したわけじゃねーんだけど。

<転送装置起動>
対象ノ分解及ビデータ化

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荒野の探偵

荒野の探偵

 その男は寂れたバーの扉を押し開けて現れた。
「水をくれないか」
 男はイギリスなまりで言う。それが癇に障ったのだろう。今、イギリス人は荒くれガンマンと向かいあっている。決闘だ。
 両者の間に乾いた風が吹き抜ける。バーの店主が思わず唾を飲む。そして緊張が張り詰め、張り詰め……弾けた瞬間、両者はほぼ当時に銃を抜き、銃声が三度鳴り響く。
 ガンマンは目を見開き、地面に銃が二丁落ちる。
「てめえ、なんで

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テァン、無双を舞う

テァン、無双を舞う

「生命の本質は振動だ。わかるな」
「はい、先生」

テァンは静かな息を吐き、自らの内奥へと心を移した。

ドク、ドク、ドク…

心臓の鼓動。体の脈動。己を構成する微細な分子の律動。風が吹きわたり、テァンの髪を揺らす。感じる。駆ける動物達。鳥のさえずり。命のやり取り。生命の鼓動。大地。すべてが振動している…。

テァンは目を見開く。

目の前には斧を振りかざした男。テァンは流れる動きで男に触れる。

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『元傭兵デリックの冒険』より「力鬼士(リキシ)の洞窟」

『元傭兵デリックの冒険』より「力鬼士(リキシ)の洞窟」

「ファック野郎!」

スコップを振り下ろし、襲い来る力鬼士の指をぶった切る!
「ギァーーッ!」指は土に還る。力鬼士は後退し、チッチッと音を発した。仲間を喚んでいる! ボゴン! ボゴン! 床や壁から力鬼士が這い出す。囲まれた!「くそったれ……! まさか、実在するなんてな!」

デリックはスコップを振り回して威嚇し、事の発端を思い出す。



「父を、助けて下さい!」デリックの店に飛び込んで来た少女

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アット・ザ・ドライヴイン(1):海老ナSA

アット・ザ・ドライヴイン(1):海老ナSA

私は暖房の効いた店内に入ると、24時間営業のフードコートに向かった。
海老ナSAは東亰~那古屋間で有数の大型サービスエリアだが、深夜ともなれば人はまばらだ。
バイク乗りに11月の夜風は堪える。早く温かいもので腹拵えがしたい。
ジャケットの襟を緩める。さて何を食べようか。

海老ナSAの名物は、海老である。
店内には写真付きメニューと案内看板がが所狭しと貼られている。
「海老拉麺」「海老茶」「お残し

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滅びの時に

滅びの時に

神聖都市ウルト。
その地下に張り巡らされた回廊の闇の中、一人の男が歩んでいた。彼の名はラグナ。ウルトの若き神官長である。

蛇や鷲、そして聖なる猛獣に変容していく人間…ラグナの持つ灯が壁を照らし、神秘的なレリーフが浮かんでは消える。闇と静寂の中、回廊に流れる水音だけが響いている。

回廊最奥の広場状の空間、その中央には巨大な石柱がある。石柱には半人半獣の神人、8頭の鷲、そして20匹の大蛇が渦を巻き

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