逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集
ギターを抱いた渡り猫
コバーンの手下、あのニボシ臭いハチワレどもの頭をあニャあきチーズに変えてやったのは、ここニャン年かで二番目に気分のいい出来事だったが、(一番目がニャニかって?あんたみたいないい猫とこうしてお話しできてることかもニャ)そのおかげで、町から町へ、渡り鳥ならぬ渡り猫、ってわけさ。まあ、俺には幸い相棒のこいつがあるからニャ、こいつをかきニャらしながら、甘い歌の一つでも口ずさめば、とりあえず食うものと宿に困
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アリゾナ州トゥームストーン。
陽が西に傾き始めてからもう随分と経つ。
タンブルウィードを転がす風が酒場のスイングドアを揺らしてゆく。
大通りの左右には大勢の見物人。
まぁここではよくある決闘ってやつを観に来てる。
当事者でなきゃ俺だって観に行く。
背中合わせに立ち、10歩歩いたら振り返って敵を殺る。
実にシンプルだ。牧場のときはそうもいかなかったけどな。
一歩。
三歩。
この辺で振り返って
Six Action Army - Man 悪魔のガンマン
タンブルウィードの転がる小さな宿場町を、危険なアウトローの集団が支配していた。彼らを率いるリーダーが、町の広場で絞首刑に処された保安官を、銃の的にして辱めている。サルーンからはアウトローどもが凌辱する町娘たちの悲鳴が漏れ出ていた。
「31、32……34人か。どうだ」
宿場町の見張り塔の上で、俺は右手でスマートグラスを外しながら左手の腕時計に話しかける。
「"再装填"後の戦闘力であれば成功率
ハロウ・イン・アキバ
ぎい。サルーンのドアを開けると、客の何人かが俺を睨んだ。凶悪な面構えがずらり。
「らっしゃい」
メイド服の店主の嗄れ声。珈琲と砂糖の香りが充満する中、俺は悠然と歩を進め、カウンター席に座る。
「なんにするね」
「日替わりパスタと、キャラメルカプチーノで」
店主はごつく毛深い指で注文を書き取り、無言で了解する。
奥の方では、棒付きキャンディをしゃぶってカードゲームをしてる連中。ミント風味の清涼菓子
荒野のタグ・スリンガー
「「「ホーッ!ホーッ!」」」
荒縄で縛られたスマホを振り回し、web荒野に棲む電子原人たちが襲って来る! 上空に飛び交うのはツィツィ鳥だ。目玉や内臓を突つき出す腐食性の猛禽。俺の死体を食い荒らそうと、気が早いことにやってきたわけだ。だが、やるもんか。
疾走する電子馬の上で、俺は左手で手綱をとり、右掌を上に向け、集中する。エナジーが集い、掌大の「#(ハッシュタグ)」となる。俺の武器だ。
「
Hanged-Men ハンドマン
銃声がして、振り向くとカウンターの男が死んでいた。
「ウイスキーを一杯。何も混ぜないでいい」
死んだ男は、自分の脳漿が混ざったグラスを、痙攣する手で握りしめている。煙を上げるスミス&ウエッスンを持った男が、それを死体から奪い鼻元へ運んだ。
「バーボンを脳漿で割ったカクテル。"ペヨーテ"の好物として有名だな」
私は男に注文通りの一杯を差し出す。だが男は受け取らない。
「"