逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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記事

ロード・オブ・ザ・リング-土俵の王-

大相撲アサクサ場所、この日の最終取組は夢乃島対十束。両国ナショナルアリーナが最高潮に達する。

 その名の通り、ゴミで埋め立てられた夢の島出身の力士が夢乃島だ。
 洗脳で強化された心、インストールで習得した技、そして義肢や人工筋肉の体を持つ力士が増えた昨今、サイボーグ力士に文句を言う好角家はいない。ましてやゴミから組み立てられた夢乃島は、人々の夢の結晶だった。

 夢乃島が後方に跳ねる。バーニアと

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マシン・ハート・フル・ボディ

「直ちに引き返しなさい。これ以上進んだならばあなたの現階級に対しての評価は_エラー_階級を参照できません。」

 28枚目の扉を破壊する。

「あなたは重大な違反行為を行っています。あなたの権限レベルにおいて_エラー_権限レベルが参照できません。」

 29。

「直ちに停止しなさい。今投降すれば、あなたの_エラー_血縁を参照できません。」

 30。最後の扉の先には、大量のタレットが待ち構えてい

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₍₍⁽⁽🔪₎₎⁾⁾ Blade Dance₍₍⁽⁽🔪₎₎⁾⁾ 🎉
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ソーシャルゲームパンク:リセマラ者を殺せ

「この俺が!最高レアリティの!SSRの俺が敗れるなんて!」
男は俺に倒され、強化素材になった。レアリティの高い人格(パーソナリティ)は、ドロップする素材もいい。これでしばらくは金に困らなそうだ。俺はドリンクを飲み、スタミナを回復する。

誤解するな、俺は無差別殺人者ではない。
俺が殺すのは『リセマラ』をするやつと『リセマラ』産の人間だけ。

この世界にSSR人格が産まれる確率は0.6%、そのほとん

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ニンジャ・プログレッシブ

サイ・ラプチャの連中を金に換えるコツは二つ。揺れる眼球が見えるまで近づくこと、良い刀を使うこと。

「来いよ、忍者野郎」

薄暗い室内でそう言った男は、角ばった輪郭からして明らかに内骨格を強化していた。半端な狙撃では殺しきれず、対装甲兵器を調達して割に合う大物でもない。私は両手の小刀を握り直した。どちらにしろ死体を確かめるまでが仕事だ。

距離を詰める。男の拳を躱す。右脇下に刃を入れ、切り裂きなが

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🐘🐘.…...…..🐘.🐘…🐘.…
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泥斬り稼業

ドブ長屋のクズ共が死んだ理由は三つある。五日続いた豪雨と、役人が積み上げた鉄屑と、貧乏。要は三つ目だ。もっとマシな所に住んでいれば崩れたゴミ山に潰されて死ぬこともなかった。泥油と混じって蘇り、俺のようなガラクタ人形に斬られることもなかった。

「五つ」

 無造作に蒸気刀を振る。何の抵抗もなく屍泥は斬り倒される。

「六つ」

 もう一匹。肩の歯車が軋む。

「七つ」

 半壊した天井から泥油が垂

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絶罪殺機アンタゴニアス

甲弐式機動牢獄は、囚人たちが特殊刑務作業に従事する際に搭乗する更生支援兵器であり、その外観は巨大な蜘蛛を思わせる。
 胸部下面から伸びた機銃が十字型の火を噴き、命乞いをする貧民たちを容赦なく血煙に変えた。散発的に浴びせられてくる反撃の銃弾は、その装甲に傷一つつけることはない。
 逃げ惑う人々をかきわけて、暗い目をした男がうっそりと歩いてくる。
 その両手に二挺のちっぽけな拳銃が現れた時、囚人らは失

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ありがとう!
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ディープ・ダイバー2041

炎上する市街地を眺める。横転した車にガラスの割れた店。散乱した張り紙に意識を集中する。数は…3体。間違いない。『ノード』だ。

『隠れ層』からやってくる奴らは実体を持たない。光学、熱流センサにも映らない。俺たちの住む『出力層』から『情報』を啜り上げ、糧としているのだ。異次元の侵略者に世界は大混乱に陥り、人類は為す術もなく敗北した…はずだった。

軍事機密の深層解析ツール『ディープ・ダイバー』が流出

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ありがとうございます!💫🐳🙏
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こちら合成害獣救助隊

看板の群れを回避しながら路地裏の底めがけて降下する。ひときわ大きな看板を避けて目標が視認出来た。狼の体に鮪の尾。合成害獣、通称キメラだ。部長の強化外骨格が掴みかかって動きを止めてる。あたしの接近に気付いた部長が身を引く。よろけたキメラにあたしはブースト全開の蹴りを叩き込んだ。

法整備と啓蒙が実を結び、人と暮らす動物は皆幸せになったはずだった。追い詰められた悪徳企業が「犬と猫を混ぜて売る」などと

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やったー!
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百合の間に挟まるべきでないたった一つの明確な理由

「銃を置け」

 突きつけられた銃口の硬さを感じながら、私は言われた通りに拳銃を床に落とした。
 カツン、と硬い音を立てて落ちたそれを、男は足で踏みつけた。

「どこに雇われた異能者だ?」

 男の問いに、私は静かに笑う。

「お前、私が誰か知らないのか?」

 その問いに男は苛立たしげに銃口を押し付けることで答えた。私は話題を変える。

「お前、いい銃を使ってるよな。M1911SC。スマートピス

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ワン・オブ・ザ・コープス

俺が誰かは俺が決める。他の誰にも決めさせるものか。

Budda Budda Budda! 機関銃がクローン兵たちの頭を薙ぎ払う。首なしの体が崩れ落ちる。弾切れの銃を捨て、死体の銃を一挺拾って、さらに前へ。

「最近のクローン兵は質が落ちたよなァー、ドクター。まるでゾンビだ」
『コピーすれば劣化するのさ、何事も。オリジナルには及ばない』

次のウェーブは6秒後。欠伸が出るほど遅い。俺は壁へ、天井へ

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あなたのカラテ段位が上昇しました。
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