逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集
ダイダラボッチvsポール・バニヤン
「てめぇ俺のチョコ食っただろ!」
「早い者勝ちだッつってんだろが!」
仲良しのダイちゃんとポーくんがふとした事から大ゲンカ!マウントを取り合い涙を浮かべてポカポカと殴り合っています。やがて2人は壁を突き破って真っ逆さま!
気がつくとダイちゃんは一面砂にまみれた場所にいました。辺りを見渡してもポーくんの姿は見えません。とりあえず近くに生えていた手頃な枝をへしおり、ぶんぶんと振り回しながらポー
ヨコヅナ・フォートレス (邦題:横綱要塞を突破せよ)
心技体、そして霊。
人は知る由もないが、力士の身体にはニューロンの速度で動き回る小さな精霊「角霊」達が宿っている。猛き力士には角霊が集い、角霊に愛されし力士は力を得て横綱となる。この循環により、我が国の五穀豊穣は保たれて来たのだ。
だがある時、大関「鬼乃若」に宿る角霊の1人が取組中に発狂。多数の角霊を殺傷せしめ、力士管制は崩壊。力を失った鬼乃若は受身を誤り長い休場を余儀なくされた。さらにその角
月の男と墜落するシモン
聖人、山師、魔術師。
その男の噂は余りにも膨大で、そして余りにも纏まりがない。だがその噂はどれも不気味なほどの熱を帯び、今やルーンの植民地、カナの地を席巻しつつある。
月の男。
そう呼ばれている噂の主に、占い師シモンが遭遇したのはある朝のことだった。
辺りにかぐわしい香りが漂う中、男が口を開く。するとその言葉は光となり、煌めきながら天へと昇っていく。男が空に手をかざすと、まるで時が加速したか
白のナダレと花のテオ
夕陽によって空が赤く染まりはじめると、空にゆらゆらと白みがかった巨人の影が浮かぶ。陽炎のごとき巨人が踊る神話的な光景は、しかしサの村の人々にとっては見慣れたものであった。村の古老は子ども達に語る。あれは山の精霊。あの踊りは創世の神話を再現したものなのだと。
バチバチと音をたてて燃えるサの村。それを見下ろしながらテオは嗚咽を抑えていた。ムの領主が野心を抱き兵を集めている。その噂は辺境のこの村にも届