逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

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渾沌の七つの穴

よいかな。むかし渾沌がいた。眼も耳も鼻も口もなし。身は渾然とし、意識は朦朧。これが中心にあり、太極が流れ出て陰陽が判れた。渾沌に七つの穴が空いたせいなのじゃ。

―――莊子にいう。南海と北海の帝(かみ)が渾沌に七つの穴を空けた。すると渾沌は死んだ。

 この七つの穴から万象が漏れ出した。あらゆる可能性と災厄が飛び出したのじゃ。帝たちは慌てて穴を塞いだ。すると、渾沌の死体の中から声がした。そいつは言

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デザート・ネクロ

人間でなくなったロジャーが遺跡から抜けると、ラクダの子どもが座り込んでいた。嫌がるラクダを拾うとオアシスに向かう。遊牧民がロジャーを見て不思議そうな顔をする。

「すまないが水をもらえないか」

 うまく飲まない。水でなくミルクが欲しいようだ。ロジャーが遊牧民を見ると、彼は長銃をこちらに向けた。

「この前奴隷が死んでな。代わりを補充したい」

「俺はもう人間じゃない。やめたほうがいい」

 遊牧

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