逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集

1858

歯抜けの犬は肉を噛めない

〈禿げ猫〉について覚えていること。全身無毛。爪に毒。妖猫のような瞳。女。本名不詳。

 三十分。絞め殺すのにそれだけの時間を費やした。可愛らしい、小柄な老婆だった。爪に垢が詰まっている。老眼鏡の奥で白内障の瞳が濁っている。ずり落ちた鬘の下には綿毛のような白髪。表の名札には、当然〈禿げ猫〉ではなく桜井葉子という名が書かれていた。

 復讐の必要はない。五十年前、そう告げて死んだ依頼人の名は思い出せな

もっとみる

「国技館ロイヤルランブル」

《NHK中継終了の18時までに土俵上の総重量が400kgを下回ったら国技館を爆破する》という脅迫電話を間に受けた日本相撲協会が急遽ロイヤルランブル制を導入。常時三名以上がぶつかる熱戦に観客は総立ちとなった!

取り組みが決着し力士が一人になれば爆破。されどテレビ中継を止めても爆破。苦肉の策だがこれが大いに受けた。

入れ替わり立ち替わり力士たちが土俵に乱入していく。番付差や同部屋対決の禁止もな

もっとみる
ゴッド・ブレス・ユー
47

ブラッドストーム・イン・ジ・アビス

脱出艇連続特攻作戦は巨大海蛇を退散せしめ、第156太平洋深海開拓市は圧壊の危機を免れた。しかしそれは時間稼ぎにしかならない。魚人共に場所がバレた。奴らはいずれここに辿り着き全てを殺戮するだろう。オガサワラ大陸棚市まで脱出艇で片道3日。カミカゼのせいで艇の数が足りない。俺のような末端の開拓民は置き去りにされる。その救助艇、今誰が整備してると思ってるんだ。俺だ!

「何が海底は最後のフロンティアだ!

もっとみる
やったぜ!
35