逆噴射小説大賞2018:エントリー作品収集
1857
本
勝海舟幕末航海記 ~文久の書 第2章・流浪~
「こんなものでしょう」と彼は飄々と言ったんだ。鮮烈に覚えている。その時の彼の顔、ギラリと光る白刃、千切れ飛ぶ浪士の四肢までも。
竜馬君をあんなに疑ったのは後にも先にもあれくらいだ。気前で腕の立つ用心棒が聞いて呆れる。確かに私は当時既に浪士連中から目の敵にされていたし、実際襲われたわけだけど、それでも、その…分かるだろ?お近づきになりたくないという人種だよ、彼は。え、政治家にあるまじき…?いいだろ
大天狗国(テングリア)
チンギス・カンは天狗だった。この事実を知った時、私は目が眩み、膝が震えるのを感じた。だが、考えてみればわかる。源義経は天狗に武芸を習った。彼が大陸に渡り、チンギス・カンとなった。この有名な二つの伝説から、自ずと結論は導かれる。チンギス・カンは天狗だったのだと。
義経は天狗に成っていたのだ。星々の海から降臨した大魔王に。その超常的な力は海に嵐を起こし、アイアンゴーレムを操り、富士山を噴火させたとい